あの時。ああすれば。仮定を想像して、煩悶する。
誰しもが経験する、後悔の味。
人は一つの道しか選ぶことはできず、過去のいかなる決断をも覆すことはできない。
後悔とはすなわち過去の自分に対する敗北であり、それもまた人生の苦みを知るうえで、避けては通れない経験である。
――それでも。それでも、だ。
デンジは、天を仰いだ。
執務室の夕暮れの中、マキマさんが頬杖ついて、俺と交わしてくれた大事な約束。
『私がキミの願い事なんでも一つ叶えてあげる』
今なら間違いなく、願い事は一つだけ。
「時を戻してください」。
あの夜、あの瞬間、俺は何で目を覚ましてしまったんだろう。
知りたくなかった。見なきゃ良かった。最後まで、秘密にしておいてやりたかった。
◆
夏の盛りに悪魔と戦うのは、しんどい。血と内臓と汗が混じって、全身からヘドロみたいなにおいがする。
食卓を彩るのは新鮮なゴミ箱からの戦利品生活だった俺でさえ、鼻がひん曲がりそうな体は一刻も早く水で洗い流したい。気にしてねえのはパワーだけだな。
「10分で出て来いよ」
「へぇへぇ」
街中に点在しているデビルハンター専用のコインシャワーの入口で、早パイから100円玉をじゃらじゃら持たされる。お、今日はちょっと多め。早く上がったら、アイス買っていいのサインだ。
ゴキゲンで扉を開けて、5秒ですっぽんぽんになる。水に近いぬるま湯で全身流していくと、生き返る。備え付けの石鹸で頭からつま先までゴシゴシ洗って、頭からシャワーの湯を叩きつける。
俯いたまま泡の行方を何気なく見ると、仕切りに近い薄い壁の下にあいた隙間から、早パイの裸足が見えた。
泡を踏んで、きれいに切られた爪が見えている。男の足にゃ、そそられねえけどな。
顔を天井に向けて、びちゃびちゃ湯を浴びる。立ったまま腕も伸ばせないシャワーブースは、狭いけど手軽で俺は気に入ってる。
けど、たまには、大浴場ってのにも行ってみたい。でけえ風呂、入ってみてえんだよな。
今日だってケーサツのおっちゃんに、すぐ近くにデビルハンターも使える銭湯がありますよって教えてもらったのに、早川のセンパイはいつもの愛想笑いでやんわり断って、結局馴染みのここ一択だった。金出してくれてっから文句言えねえけどよオ。
なぜか、今まで一度も銭湯ってのには連れてってもらったことがない。偶然ではなく、あきらかに避けている気がする。
なんだア? 風呂、嫌いってわけじゃねえよな? 家でも入ってるし。一番最後だけど。ん〜〜〜?
モヤモヤ引っかかるものが脳みそに溢れてきて、大量の泡で流して良い気分だったものが減退していく。
俺は濡れたポチタがやってたみたいに、ぶるぶる頭を振って、つまんない気分と水気を振り落とした。
「まあ、いいか!! おっし、アイス!!」
ギュッと蛇口をしめて、替えのパンツとTシャツとズボンを脱いだ時と同じスピードで身に付けて、外に出る。
隣のブースはまだ湯音が響いてたけど、俺は構わず狭いロビーの自販機のアイスに向かって走り出した。
◆
週末だったので、夕飯用に帰り道のスーパーでちょっと高い寿司を買った。食卓の上に、ででんと寿司のパック。鳥からと餃子。
早パイはいつもは選ばない金色のラベルがついたお高いビールを買って、心なしか上機嫌に見えた。
パワーは唐揚げを殆ど食い尽くしたあと、新しく買ってやったおもちゃでニャーコと遊びまくって、ご機嫌だった。
夜風がわりと涼しくて、良い夜だった。
金曜ロードショーでやってる映画は、正直内容はちっとも面白くねえやつだったけど、音楽が癒やしのオーラ満載で、俺はトロトロと眠気に誘われ、アキの投げ出されてた足に頭を乗せて寝そべった。糞硬え。
「おい、寝るな」
咎める声が聞こえてきたけれど、俺はもう眠すぎて返事をすることすらままならなかった。使い心地最悪の枕から、ずるずると滑り落ちて床に横たわりながら、かろうじて、寝る、とだけ言った。
パワーはニャーコを抱いたまま、もう部屋に引っ込んだらしい。いつの間にかテレビは消えていて、「デンジ」と言いながら俺の頬をペチペチ叩いてる早パイの声だけ、聞こえている。
「悪ぃ……眠い。俺もぉ、寝る……」
「ここで寝んな。向こう行って寝ろ」
「むり……動けない。運んでくれよぉ……」
冗談だったのに、ため息をついたアキが仕方ねぇなと言いながら俺を抱き上げた。すげえ力持ちじゃん。酒のにおいがほのかに鼻をくすぐる。俺だって寝落ちしたパワーを運んだことはあったけど、まさか俺が抱っこされる日が来るとは思わんかった。揺られて気持ちー。アキは「うるせぇ」と言いながら俺を布団の上に転がし、ぽんぽんと腹に薄いケットをかけた。
「おやすみ」
俺はすでに半分以上眠りに落ちていて、その声が夢なのか現実なのか分からない。
とにかく気持ちのいい気分だったから、深く考えもせず「おやすみぃ」と返事をした。アキはじっと俺の様子を見ていたようだったが、やがてため息ついて出ていった。ドアの閉まる音を聞きながら、俺はすこんと今度こそ眠りに落ちた。
そこまでなら、良い夜だったんだけどな。
多分アキは俺が熟睡したと思ったはずだ。何で俺も目ぇ覚めちまったのか、いつもは有り得ないのに、ぱちっと一時間後ぐらいに目が開いた。悪魔の仕業にしちゃ趣味のワリィ話だ。
俺は寿司を食った時に醤油をつけすぎたせいか、喉がすげえ渇いて、目を覚ました。
とにかく眠気でぼんやりしていたから、動きがナメクジの悪魔みたいにノロノロしていた。知らず足音を消して、リビングに近づく。
扉がほんの少し開いていて、そこから湿っぽい音が耳の中にすべりこんできたのに加えて。
声が、聞こえた。
「んっ……んぅっ……」
喘ぎ声だと理解するまで、5秒くらいかかった。ようやく理解した時には、全身硬直して動けなくなっていた。頭の中が「?」でいっぱいになる。人の声だよな? 深夜のエッチな番組? エロビデオ? 幻聴?
俺は息を殺して耳をそばだてた。
「ん……っふ……」
鼻にかかったような声。それから、ぬちぬちと何かを掻き混ぜるような粘った水音が響いてきて、それでようやく俺は理解した。
え〜〜〜水飲みきたらオナってんだけど……。
泣いてるとこに遭遇すんのもたいてい気まずかったけど、マジか。あの糞真面目な早川のセンパイが、こんな真夜中にリビングで一人遊びですか。
いや別に興味ないけど。全然興味ねえけどな。勢いつけてドア開けてた方がいっそ良かったかもしれねえな〜〜。
完全に硬直したまま、ひくに引けない体勢で俺は口をへの字に曲げた。
まあ、ある意味人間らしいっちゃらしいな。男なんだし、そりゃそういう気分になることもあるよな、分かる分かる……。
あれ〜〜……ん〜〜?
「ぁ……ん、んっ、はぃ…るぅ…っ」
甘ったるくて媚びる声だった。普段の顔からは想像もつかないような、切ない声。
喉をきゅっと引き絞るみたいな、小さな悲鳴。……いや、待て待て待て。落ち着け俺。え?なにこれ?なんかおかしくね?
「あ、んぅ……っ、はぁ……おくっ」
うわ言みたいに言いながら、ぬちぬちと何かを小刻みに動かしている。
わああああ。すげえ。大人ってすげえ。オナニーでこんな声出しちゃうんだ。俺の中の何かがガラガラと音を立てて崩れていくようだった。だってこんな声、聞いたことない。完全に、ラリってる。
だって、入るってなんだ。普通、出す、だろ。
男に入るとこなんかねえよな。穴一つしかねえもん。え、もしかして、ケツ弄ってたりする?
社会常識がどうのこうのと豪語してた先輩のとんだ性癖を垣間見た気がして、俺は半ばドン引きしつつ、いやこれは千載一遇の好機、早パイをおちょくる最終兵器になるのでは? なんて、余計なことを考えたのが悪かった。
俺はソロっと扉を開けて、リビングの中に目を凝らした。
暗闇に、薄っすら白いひかりが見える。テレビがついてんのかと思ったら、カーテンがほんの少し開いていて、外の月明かりが差し込んでいるせいだった。風が入っている筈なのに、蒸しっとした空気が肌に纏わりついた気がして、鳥肌が立つ。
アキは、俺のはるか予想外の格好をしていた。四つん這いになって、尻を高く上げて伸びる猫みてえに伏せっていた。
少しだけ足を開いてて、その太腿がぬるぬると光っていた。いや、あんな濡れるか?って思った。その時点で正直、かなりの違和感はあった。
俺はもうちょい目を凝らして、夢中になって震えている太腿の内側にあるものを凝視した。目ん玉が片方だった時によくやったみたいに、ぎゅうっと細めて、小さい光でもよく見えるように集中する。
左腕を床について、それ一つでアキは体を支えていた。右手は腹の下から股の間に突っ込まれてて、そこには傍目に見てもでっけえちんぽがあって、ぱつぱつの玉があって……いや、そこじゃなくて……え?あれ?
俺は前屈みになって、何なら首だけリビングに半分突っ込んで、目を皿にした。
アキは確かに「出す」じゃなくて「入れる」動きをしていた。
だって、俺の角度からは、アキのケツが丸見えだった。その穴より下、重そうな玉袋をよけて指が辿っている先に、なんかあった。ぷっくりと腫れて膨らんだ、皮膚よりぬめっとしたピンク色の何かが、アキの指の動きに合わせてクチュクチュと音を立てていた。
えーーー……何、アレ……。
「んっ、んうっ、あっ…!」
突然アキは背中を反らせると、ぶるっと震えた。俺は思わず息を呑んだ。崩れ落ちたアキがぺったりと床に額をつけて動かなくなった。荒い呼吸音だけが聞こえる。
イったのか、と思った瞬間、ブワッと汗が噴き出た。
興奮と焦りで、心臓がバクバクと高鳴る。昼間も見たアキの裸足が、やけに生々しく俺の目に映った。
ちょっと弱味を握って、からかってやろうと思ってただけだったのに。
見てはいけないものを見てしまった罪悪感とか、驚きとか、混乱とか……そういう様々な感情がないまぜになって大波になって押し寄せてきた。
早パイの喘ぎはめちゃくちゃエロくて、小刻みに震えてる太腿は硬えって知ってるのに今はすごく柔らかそうで、穴に突っ込まれた指がクチュクチュいやらしい音を立てて濡れてて、ギンギンのちんぽは完全に雄のそれなのに、なんで。
なんで、アキには、まんこが付いてんだ?
「んんぅ………はぁ……」
小さな声で呻いて、固まってた体が動き出した。おそるおそるって感じで抜いた指に、トロ〜ッと透明な糸が引いてるのが見える。
エッチすぎやしませんかね。鼻血出てねえかな、俺。
幽霊みたいにユラユラしながら起き上がって、ティッシュを求めてさ迷う手が、ついに目当てのティッシュ箱を引き寄せて、何枚かまとめて引き抜いた。
「っん、ぅ……あっ、はっ…う…う、ぅ、ぅ、んんっ…!」
低い声が短い周期になって、くぐもって繰り返す。ゴシゴシ竿をしごく手付きは、俺にも覚えのあるオナニーの手つきだった。
そのまま何枚も重ねたティッシュの中に欲望を吐き出すと、また脱力してずるずると床にへたり込む。
あ、やっぱりそっちも出るんだな。
すー……ふー……と何度か深呼吸して息を整えると、アキは今度こそもぞもぞと立ち上がって床を拭き始めたから、俺は慌ててドアから離れて部屋に逃げ戻った。
心臓がバクバクして息が苦しい。布団の上に転がって呆然と天井を見上げた俺は、混乱したままさっき見たばかりの映像をひたすらリピートした。
ちんちんが痛すぎて死にそうだった。
何だったんだあれ。
悪魔と契約したから?なんかの病気?それとも生まれつき?義務教育でならうこと?
俺は悶々としながら目を閉じたが、そんなもんで眠れるわけもなかった。
◆
「はぁー……」
「うるせぇ」
「息はいただけだろぉ」
早パイはいつものように、いや、いつもより少し機嫌が悪そうだった。俺は朝メシのトーストをかじりながら、チラチラと様子を窺った。
「なんだ」
「別にぃ?」
普通だし、ちゃんと男に見えるし、顔も体も特に変わりない。ツラはムカつくぐらい整ってるけど、愛想と目つきと口が悪いところも、いつもどおりだ。
俺はトーストを平らげ、牛乳を飲みながら、さりげなく観察を続けた。
相変わらず変てこな髪形してるし、几帳面で神経質そうな面構えだ。鍛えられた筋肉。長い足。どっからどう見ても、ちんぽのある男にしか見えない。でも、と俺は珈琲の瓶をふいているアキの指を見つめた。
あのヌレヌレの穴ん中に、あの指、埋まってたよな……。
俺は落ち着かない気持ちでテレビをつけた。
朝のニュース番組では、流行りのレジャー施設の宣伝をしていて、水着の女がプールサイドで楽しそうに笑っていた。
「デンジ、洗い物」
声をかけられて、渋々立ち上がって食器をシンクまで運びながら、ふと思いつく。
プールだ。水着だ。着替えだ。そうだ。何も盗み見なんて人聞きの悪いことしなくたって、股にちんぽとまんこがあるかどうか堂々と確かめりゃいいんだ。
「なぁ、あんさぁ」
洗い物をしながら、皿を拭く先輩に甘えた声を出す。
「なんだ」
「プール行こうぜ。今日じゃなくてもいいから、近いうちに」
「はぁ?」
露骨に嫌そうな顔をされる。俺はめげずにしつこく食い下がった。最近忙しくてどこにも遊びに行けなかったから、たまにはどっか行きてぇんだよ。三人で気分転換しようぜ。水着のおねえちゃんが見てえ。
「おまえ、最後のが本音だろ」
ちょっと口角が震えて、目元に少し皺が寄った。あ、笑ってる。いや、笑ったからってなんだっての。
アキは少し上を見て考えてから、まぁいいか……と呟いた。
「ヤッターー!!!」
「天気がよければな」
おざなりな返事も気にならない。心の中で大Vサインかましちまう。これで堂々と、アキの着替えを観察できる。
いくらなんでも「早パイって女だったの?」とか「なんで、ちんちんとまんこ両方あんの?」とか直に聞くわけにはいかねえもんな。俺だってそこまでバカじゃない。ぶっ殺されちまう。
かといって、このまま有耶無耶にされたら、気になって夜も眠れなくなる。なにが悲しくてセンパイの下半身事情にここまで振り回されなきゃならねえんだ。
事実、今日は死ぬほど寝不足で立ったまま寝れそうな程眠い。
「約束わすれんなよ」
俺は意気揚々とアキのでかい背中を叩いた。やれやれと首を振りながら、キッチンを出ていく広い後姿。
完全に男でしかないように見えるし、声もいつも通り落ち着いたトーンだった。そりゃそうだ。前から早パイは男だ。何言ってんだ?俺は。
やっぱり見間違いだったのかもしれない。俺の脳味噌がイカれてたのかも。
「夢かなぁ……」
とにかくプールの約束は取り付けた。着替え中なら自然にアキの股間を、確認することができる。
その日から俺は天気予報を熱心にチェックするようになった。
◆
てるてる坊主のかいあってか、次の土曜日は雲ひとつない快晴。絶好のプール日和だった。
「っしゃあ! プール!」
「ワシの別荘にはプールが四つあったのお」
「10分以内に支度しねえと、連れてかねえぞ」
何だかんだ言いつつ、アキは、本当にプールへ連れて行ってくれた。制服じゃなくて、シャツとジーンズというラフな格好で三人一緒に電車に揺られて、隣町の総合レジャー施設にやってきた。
ウォータースライダーから聞こえてくる楽しそうな声。流れるプールに、波の寄せるプール。色んな種類のプールが、いっぺんに楽しめるのが売りらしい。すげえ、水着のおねえちゃんが本当にいっぱいいる。よだれが垂れそう。でも、今は目的の第一。
「んじゃあ、着替えっか」
「ああ」
平静を装って更衣室へ向かいながら、俺の心臓は早くもバクバクしていた。
ついに、早パイの股ぐらチェックのチャンスがやってきたのだ。
俺の天才プランは、至ってシンプルだ。早パイがパンツ脱いですっぽんぽんになった瞬間、ロッカーの鍵をわざと落とす。これだけだ。
あれ〜っ?て探しながら、素早く顔上げて確認する。自然かつ成功率が極めて高い。
作戦はシンプルな方がいいって先生も言ってたからな。これで相手に気取られず、股間を確認することができる。完璧だぜ。
「なに止まってんだ、さっさとしろ」
「うおっ!」
突然声をかけられて、俺はビクッとした。振り返るとアキが不審そうな顔をして俺を見ていた。更衣室の入り口でシミュレーションに励みすぎちまった。
ロッカーを開けて、バッグを入れて、中から水着とタオルを引っぱり出す。隣に立ってるアキは既にシャツを脱いでいた。やべえ、ぼーっとしてる間に、脱ぎおわっちまう。
ジーンズの腰に手を入れて、スルッとベルトを外した瞬間、俺はすかさず鍵を落とそうとして……
「あーーーー!!」
「こ、今度はなんだ!?」
びくぅっ、と裸の肩が跳ね上がる。
「は、早パイ!なんでもう水着きてんのぉ!?」
俺の計画台無しなんだけどオ!しかもなんかゆったり系の水着かよ!分かるけど!俺もピッチピチのはやだけど!
「いや、家出てくるとき、水着下に着てきたから……」
アキは困惑したように、というか、ちょっとドン引いた目で俺を一瞥した。変態を見る目で見るなよォ。
それから、先行くぞと呟いてさっさと出ていってしまった。
何のために。何のために俺ぁ今日まで……。
「うー……」
俺は仕方なく、パンツを脱いですっぽんぽんになってから、一人虚しく水着を履いた。
◆
結論からいうと、俺たちは半日たっぷりプールを満喫した。アキは終始何となく楽しそうで、俺は超最高に楽しかった。パワーも途中から飽きてたけど、なんだかんだ最後まで犬かきもどきで泳ぎまくっていた。
水中にもぐって覗いてみた早パイの水着の中は、確実に俺と同じように質量のあるものがおさまっている感じだった。
やっぱりちんちんは、あるんだよな。多分、俺が想像してるのよりもでっけえご立派なやつ。
途中からもうどうでもいい気がしてきて、俺はどうせ見るならおっぱいの方が良くて、結局当初の目的は何一つ果たせないまま一日が終わった。
ちなみに当然、水着脱ぐときはシャワー付きのブースだったから見れるはずもなく。
天才プランも予想外の動きには適応できなかった。残念。
帰りの電車の中、疲れ切った俺たちは二人並んでシートに沈み込んでいた。
「ワシはもう一歩も動けん……吐きそうじゃ」
「寝りゃいいだろぉ……俺は寝るぜ」
俺とパワーが座席を占領してるせいで、アキは吊革を握って立ちんぼ状態のまま、俺たちを見下ろしていた。
「夕飯、牛丼買って帰るのでいいか」
「お〜最高プランじゃん……」
俺はひらひらと手を振って、目を閉じた。まぶたが限界をむかえ、俺はものの数秒で眠りに落ちた。
夢ん中で、早パイは恥ずかしそうに水着を下ろして、まんこを見せてくれた。
М字に開脚した足の間に、ぷにっとしたピンク色の割れ目がのぞいていた。
「デンジ、恥ずかしいから……そんなに見るな」
俯いたままそう言いながら、顔を赤らめてそっぽ向いていて、俺は最高にムラムラして、まんこに手を伸ばした。
「あ、あっ、だめだデンジ……そんなとこっ……♡」
俺はたまらず、指を突っ込んだ。
「んがっ!」
飛び起きた。心臓はバクバク言ってるし、汗びっしょりで気持ち悪い。夢か? 夢だ。すげーエロい夢を見た。
隣を見ると、パワーが完全に俺に寄りかかって爆睡していた。肩がよだれでベチャベチャに濡らされていた。
「クッソ、きったねーなぁ」
俺は仕方なく、パワーを揺り起こした。
「おい、パワー、起きろよ。垂らしてんだよ、よだれ」
「ンがぉ……」
寝ぼけた顔で俺を見ると、今度は俺の肩に牙を立てて齧り付こうとしたので、慌てて突き放した。
それからようやく早パイが傍にいないことに気づいた。首を伸ばすと、向かい側のシートに座っていて、静かに本を読んでいた。
目線を下げたうつむき加減の顔が、夢の中で恥じらいつつ足を広げた顔と重なって、俺はカッと顔が熱くなった。
なんかすごくヤバイ。俺、変だ。心臓ドキドキして、変な気分になる。
「……」
ふっと顔を上げたアキと目が合う。俺の顔を見て、口元を指でトントン示す。薄い唇が開いて、「よだれ」と呆れたように呟いた。
俺は慌てて手の甲で口元を拭った。
赤くなった顔を誤魔化すのにちょうど良くて、そのまま窓の向こうに首を反らした。
◆
晩飯は、牛丼を買って帰ってみんなで食べた。旨かったのに、俺の頭はずっとフワフワしていた。
疲れがピークに達してたことと、連日の寝不足で、殆ど食ったら即落ちのスピードで寝ちまった。
先週の流れのデジャヴ。でも、今夜の早パイは俺を運んでくれることもなくて、リビングに放置されたまま、俺は深夜までぐっすり硬い床とキスしながら熟睡していた。
空気の潮目が変わったのは、日付を跨いでからだった。
「くっそぉ……」
いらいらとムラムラを持て余しながら、不完全な悪夢じみたエロい夢から目を覚ます。
相変わらず早パイのちんことまんこで頭がいっぱいで爆発しそうだった。
辺りは当然真っ暗だった。時計の針は一時半を過ぎている。
膝をついて、ふらつきながら立ち上がる。
俺の消化不良の元凶は、リビング隣室のベッドですやすや眠っていた。半ば夢うつつに早パイの部屋になだれこんだ。
この野郎。俺がこんなに悩んでるのに。
理不尽に腹を立てて、ベッドの上で行儀よく上向いている鼻をつまむ。んぐ、と一瞬呻くが、起きる気配がない。
酒の入っているアキは一度寝るとなかなか起きない。おまけに昼間の疲れの蓄積。
よーし決めた。もう決めた。俺ぁ決めたぜ。いいよな、ポチタ。
胸ン中で「ワン!」と答える相棒の幻聴に背を押される。
俺は手を伸ばして、アキのパンツに手を掛けた。
耳の後ろの血管がドクンドクンと大げさに音を立てていた。躊躇ったら負けだ。いけ、デンジ。男だろ。
「お邪魔しまぁス……」
なぜか馬鹿みたいな台詞が喉をついて出て、俺はあらわにした鼠径部から目を逸らさぬまま、少しずつでも手を止めることなく、パンツを引きずり下ろした。
外気に晒されたアキのちんこは、なんも芯が入っていなくて、ずるっとした見た目が妙に生々しかった。
無意識に口呼吸になって、ハッハッと犬みたいな息を吐く。
緊張で震える手を伸ばして、そっと、そぉっと、直に触れる。
男のちんこなんか死んでも触りたくねえはずのに、なぜか今は触ってもいいかも、とか思ってしまった。
他人のものを触るっていうのは妙な感覚だった。
柔らかくて、ふにゃふにゃで、生き物みたいだと思った。ただ触っただけなのに、心臓がバクバクして、息が苦しい。
竿を握って持ち上げると、くったりとして、重みがあった。大人の男の証。
でもその下に、やっぱり、信じらんねえぐらいふっくら湿った女性器がついている。
思わず、舌なめずりした。
もう何も考えられなかった。股座に顔を近づける。独特な匂いが鼻をついた。本能的な欲望を駆り立てるような、強烈な匂いだった。頭がクラクラする。
俺は躊躇することなく、割れ目に指を這わせた。
渇きが気になって、自分の指をしゃぶって唾液で濡らしてから、さらにその奥を探る。
ぬるっとした感触がダイレクトに指の腹に伝わって、心臓がますます高鳴った。
唾液で濡れた指を、そろそろと左右に揺らすと、早パイは眠ったまま微かに眉根を寄せた。
「ん…ふ……っ」
唇から、夢うつつの声が落ちる。長い睫毛が震えた。
起きるな、起きるなと呪文みたいに思いながら、入り口に指をそっと挿れてみる。あーあちぃ。すげえ熱い。
指先が熱く濡れた肉に包まれて、脳みその奥が燃えたような気がした。アキのまんこはとんでもなく熱くて柔らかで、それでいて切なげにきゅんきゅんと締め付けてきた。
指一本入れただけなのに腰から力が抜けて、ちんこが芯を持ち始めたのが目に見えて分かった。とんでもないエロい体だ。
俺の下半身は、もう完全に勃起して、痛みすら感じ始めていた。
「んん……」
おっかなびっくり、中をゆっくり、ゆっくり探る。
あんまり深くは怖くて入れられないから、入り口だけツプツプ繰り返す。
左手でもどかしくパンツから引っ張り出した俺のちんちんは、びっくりするぐらいでっかくなっていた。めちゃくちゃバキバキになってんよ。そりゃそうだろ。
赤黒く充血したそれが血管を浮き立たせて、別の生き物みたいに脈動している。
扱くってよりも我慢する気分で上下にさすりながら、右手の指先に当たってる肉粒をくいくい押し潰した。
「ぁ…♡ ふ、ふっ……ン……♡」
意識なんてないのに、あからさまに甘ったるい声を出して身じろぎされる。腰がピクンと浮いて、俺は思わず、手を止めた。
アキは目を閉じたまま、微かに頰を上気させて、半開きの口から掠れた声を断続的に漏らしていた。酒のせいなのか、それともこの状態がそうさせるのか、目尻もほんのりと赤い。気持ちいいって全身が素直に訴えてる。可愛い。可愛い。
不思議なことに、可愛い、しか出てこない。
指を動かしながら、溺れそうな息をする。
「あっ、…ぅん……っ!」
小さな刺激でも敏感に拾い上げて反応されるのが楽しくて、だんだん大胆になっていく。指の本数を増やして、粘膜を擦って、赤く腫れた粒をこりこりと転がした。
「んぁっ♡ あ、あ……っ♡」
腰ががくがく揺れてる。もっと激しい刺激を求めているみたいに見えたから、俺は我慢出来なくなって自分のものを掴んだ。
「ぁ、……くっそ……っ」
先走りがすげえ、ヌルヌルしてる。乱暴にこすって刺激を与えると、ますます固くなって腹につくぐらい反り返った。
裏筋からカリのところを刺激するだけで気持ちよかったし、鈴口は勝手にどんどん湿った音を立てていく。
指を包む泥沼みたいな中が熱くて、きゅうきゅう締め付けてきて、拷問じみた長い葛藤は実際には多分数十秒だった。
「出る……っ」
早パイのまんこから、勢いよく指を引き抜いた。
その瞬間、俺は達していた。ドクッドクッと数回に分かれて吐き出される白い粘液が、ベッドの端っこに散っていく。
虚脱感に飲まれて、しばらく肩で息をする。座り込んでしまいたいぐらい怠かったけど、ぐっと堪えて立て直した。へたってる場合じゃねえ。
「……んく……んん……っ」
小さな呻きが漏れて、早パイの足がもぞもぞ動いた。膝を立てて股をきゅうっと閉じ、かと思ったら少しずつ太腿が開いていく。
「んん、ん……っ」
胸が上下して、喘ぐような吐息をつき始めた。
まるで俺に見せつけるみたいに、腿の内側がぬらぬらと光り出す。中途半端なところで抜かれた穴が、寂しげにひくついて、粘液をとろとろ零しては股の間を伝っていく。
ごくっと生唾を飲みこんだ。
俺のせいで、アキは濡らしてんだ。我慢できなくなっちまってんだ。
「ぁ……っ♡ ん……はぁ、あ……」
シーツにうなじを押しつけて身悶える姿はひどく無防備で、多分誰も見たことがないはずだった。いつもの早パイとはまるで別人だった。
もう我慢できないと思った。頭がイった直後みたいに熱くてぼうっとしてるし、何が正しいかなんて考えられなくなった。
絶対にダメなのに、ダメで、もう取り返しがつかないことぐらい分かってるのに、俺はベッドに乗りあがってアキの上に覆い被さっていた。
ぎし、ってベッドの揺れる音が、鼓膜に生々しくへばりついた。
「んっ……ンぅ……」
さすがに気配を感じたのか、黒い睫毛が震えて、瞼がゆっくり持ち上がった。
薄く開いた瞳が俺を見上げる。視線が合うと、動揺したように揺れたのが分かった。
寝ぼけているのか、酒のせいでまだぼんやりしているのかは分かんねえけど、青い目がとろんとしている。ラムネの中のビー玉みたいな透き通った目。
「デン、ジ……?」
唇が震えて、掠れたハスキーな声が俺を呼んだ。
それだけで脳みそがどろどろに蕩けそうになる。返事すら出来なくて、ただ獣みたいに荒い息遣いを繰り返す俺に戸惑う視線を向けたまま、アキはゆっくりと瞬きした。
「……ぁっ、…な……にして……―――ひぎゅっ!?」
俺は言葉の途中で、アキの股の間に手を突っ込んだ。ぬちゅ、と濡れた音を立てて指先が埋まっていく。
熱くて、狭くて、柔らかい穴だった。さっきさんざんいじったせいで濡れてるせいか、すんなり根元まで入っちまった。ごめんな、我慢してたよな。
「な、ぁ……早川のセンパイはさぁ……なんで、ンなとこに、穴あんのぉ…?」
熱に浮かされた俺の口は、勝手にそんな台詞を吐いていた。びくぅって早パイは可哀想なぐらい体をこわばらせて、でも、熱い中は俺の指を確かに受け入れた。すげえ音がしてる。にちゅにちゅ。ぬぷぬぷ。超エロい。
「ぁ、んっ、や、め……デンジ……っ、ぬ、け……」
「早パイのここさぁ、女のまんこだよな?ちんちんあるけど、まんこもあんだよなぁ。くぱくぱしてっけど、何なのこれぇ?」
「なに、言って……ぁあっ!や、あんっ」
指を増やして中をかき混ぜると、びくんって体が跳ねた。
アキは自分でも驚いたみたいに目を丸くしてる。俺もいよいよ頭が沸騰しておかしくなりそうだった。
「もー、無理……入れていい……?」
「ぇ、あ……はっ!?」
アキは口を半開きにして絶句した。それから目線をずらして、すっかり臨戦態勢の俺のを見て、「ひっ」て息を吸い込んだ。同時に、俺の指を締め付けて離さない中が、きゅうんって締まった。
俺は頭がバカになってたから、それが「いいよ♡」って答えにしか聞こえなかった。そういうことに、しちまった。
亀頭を擦り付けると、ぬめった粘膜がくっついて、アキの顔面からざっと血の気が引く。やめろの「や」が聞こえる前に、俺は腰を突き入れた。
「んぐっ、〜〜〜〜〜〜ッ!!」
「はー……すげっ……」
二本の足がバタバタ暴れて、俺の脇腹に何度も膝がぶつかった。けど全然痛くなくて、全部の衝撃がそのまま快感に変換された。
すげえ気持ちいい。世界中の気持ちイイを全部ちんちんに集めたみたいに、すげえ、サイコーに気持ちいい。
「いた、いたい……っ!やだっ、抜け、……!」
「むりぃ……っ、腰、止まんねえ……う〜〜っきもちい、気持ちいぃ〜〜っ♡」
早パイは真っ赤になった顔を歪めて、がちがち歯を鳴らした。けど俺の腰は、見えねえ悪魔に揺り動かされるみたいに、無様に前後運動を繰り返した。
熱く濡れた襞が俺のに嬉しそうに絡みついてきたのが最高に悦くて、もっとその感覚がほしくって歯を食いしばる。俺の形に隙間なく広がっていくそれが従順に収縮し、ずぷずぷ音が鳴るたびに、アキの濡れた目が空中をぐるぐるさ迷った。
「や、あ、ぁ……んぅ――…っ!」
「ぅぐ、もぉイクっ……! 出る……出ちまうっ♡」
俺は叫んで歯を食いしばった。びゅるびゅるって音が聞こえるぐらい大量の精液をぶちまけたって思ったら、腹が生ぬるい液体に濡れた。
下を見ると、アキもいつの間にか射精してたみたいで俺の腹にも白いもんが散ってた。
「あ、……あっ」と声を漏らしながら、アキは呆然と自分の腹を見下ろしている。
俺はもうはぁはぁ気持ち悪いほど息が上がって興奮して、汗ばむアキの膝裏を抱えて押し上げると、かぱって両足を広げてやった。
「ひっ! あ、あ…み、んな…ァ!」
「ん〜」
目の前に現れたぬれぬれの穴に最強に興奮して、顔を近づける。俺の出したもんが、穴から溢れててらてらと光ってた。
「すっげ、えろ……」
「……ひ……っ!」
早パイの顔が、一瞬絶望に歪む。でも俺はもう我慢できなくて、舌を突っ込んで舐め回した。うあ、やべぇ、すげー味する♡ それに柔けえのに包まれる感触が気持ち良くてたまんねえ。
「ぁあんっ…!?」
小さい悲鳴をかき消すように、ぬちゅぬちゅ音を立てて穴のふちを舌でなぞる。ヒダを舌先でつついたり唇で啄んだりしながら、まんこから溢れてくる液をじゅるじゅる啜った。
「や、だめぇ……っ!きたなぃ……」
やめろと懇願する声を無視して、舌をぐっと穴の奥に突っ込む。きゅうって舌が締め付けられて、何でかすげえ幸せな気分になった。感じてるんだって、思った。
「たのむ、やめっ、てくれ……デンジ……ひっく」
そんな甘ったるく泣いてる声で言われも、そんなん余計に興奮するだけだって、分かんねえかなぁ。男だろ。半分。
「や、やめ……ぁっ!ぁああっ♡ あひぃいっ」
小さい豆粒みたいな弾力を吸ったり、噛んだりしてると、また半音あまっちょろい声が裏返り始めた。中をほじくるみたいにつつく。
「こぇ、きもひぃ? んぷ…」
「いやぁ、やあぁあ……っ!」
やだやだ言いやがるから、しょうがなく、ぎんぎんになってるちんぽの方も扱いてやる。そしたら、早パイの足がじたばた暴れて、俺の背中を踵で蹴り始めた。
「いっ! いて、マジで、いてぇって!」
「……んあぁっ♡ やだ、っああぁあ」
俺は舌をずるるって抜いたけど、指だけはまだ突っ込んだまま、中で鉤状に曲げてぐちゅぐちゅっと出し入れした。
指で腹の裏を引っ掻いて、わざと下品な音を立てながら何度も擦って差し込んで。
「ぁ――〜〜ッ!!」
青い目が限界まで見開かれて、絶叫した。背中が反って、ぴんっと伸びた足がシーツを蹴る。つま先がぎゅーっと丸まってた。
すげー反応してんじゃんって思ったけど、よく見たらまた、ちょろっと射精してるし、そんでめちゃくちゃ穴の中からドロォって白濁したもんが溢れてきた。
「うぉ……すげぇ、出てくるぅ……」
「ふぁ……っ、あっ、あ――ッ! んんぅううっ!」
早パイは背中を限界までしならせてから、突然糸が切れたみたいにベッドに倒れ込んだ。
体中汗びっしょりで、開いた唇から涎が垂れてる。足だけが不規則にびくびく痙攣して、俺はごくりと唾を飲み込んだ。
今度は手こずりようがない。遠慮もなかった。
「うあ……っ!!?」
「はー、きもち〜〜……」
アキの体をひっくり返して、後ろから犬の交尾みたいに思いきり腰を打ち付ける。パンッ、ってケツがぶつかる音がするぐらい激しく動かすと、アキは呻きながら枕に顔を埋めた。
快楽の尻尾をひたすら追いかける。アキは肘つくのがやっとの体勢で、ひたすらシーツにすがりついている。
「ぁ、あ……っ! ぅうっ……」
「早パイの中、めっちゃ熱いぃ……」
俺は汗だくだった。ぜえっぜえって息が、部屋中に響くくらい荒くなる。
汗が滝みたいに目に流れ込んできて鬱陶しいのに、拭ってる余裕もないぐらいに興奮してた。
突っ込まれて打ち付けられて、雌犬みたいに唸って、涙やよだれで顔をぐちゃぐちゃにしてるセンパイ。
シーツに押し当てられた口からはくぐもった声が絶え間なく漏れて、時々裏返った悲鳴が混じる。
「ん、あァっ!あぁ――〜〜……ッ♡」
体を屈めてうなじに口づけると同時に揺さぶると、腰がガクン!って跳ねた。
「イった? いきてる?」
「う、ぅ……っ……らんぼ、ぅに、しやが、って……ぇ」
枕から顔を離して、呂律の回らない舌で、早パイが言った。ぐいって首まわしてこっち見た目が、冷めた水みたいに青いくせにひどく熱っぽく潤んでて、心臓がギュンッ!ってなった。
「優しくすっから、あとちょっとだけだからぁ……」
ぐず、って鼻を鳴らしてそっぽ向かれる。
俺の体を押しのけようと伸ばしたアキの指が震えてる。全然力が入ってないそれを捕まえて、指を絡めた。恋人みたいに繋いだ手に唇を押し付けると、中がきゅんって締まる。
「かわいー……」
「ぁ、あっ、んぁあっ、デンジ、デンジッ…ぁっ」
「気持ちいい?」
「あっ、あっ、も、っと、ゆ、っくりぃっ……」
「お腹のほうがいい?」
「んっ、ん、ぁっ、ふ、う、んんっ!そこっ、そこぉっ! ゆっくりし…ろぉ…!」
「ゆっくり、ったってよォ……」
極力ゆっくり奥までじわじわ割り開いて、ギリギリ抜けるってところで腰を止めた。それから勢いよく根元までじゅぷんっと押し込む。そおっとまた引き抜いていくと、アキの腰が嬉しそうにゆらゆら揺れた。
えーーエロ過ぎる。
「は、ふ……んんぅ…」
腹側を意識しながら小刻みに動いてやったら、その度に鼻から甘ったるい息が漏れてくる。
耳まで真っ赤にして、アキはいやいやと子どもみたいに頭を振っている。
「あ〜〜……ここ、気持ちぃ……」
言われたところはちょっと浅めで、もっと激しく深く突っ込みたくなってしまうけど、従順になってしまったアキがエロ可愛くて望み通りにゆっくり突いてやる。
しごいてるチンポが先走りを零してぬるぬるになってきて、気持ち良くなってるのがすぐ分かる。タマを揉んでた指先がさっきの肉粒にかりっとひっかかって、途端にびくっと跳ねてナカが締まった。
覗き見したオナニーもまんこのほうを集中して触ってたし、アキはこっちの方が好きなのかもしれない。そのままつまんでくりくりいじる。
「ふあぁっ!あっ!だめ、それだめっ!いた、強すぎっ!触んなばか、ばか、デンジっ!」
「えー、じゃ、どう触られたいんだよ」
「ひっ、う、ぬるぬる、っして、ないから……ッ」
「ヌルヌルさせればいい?」
「んっ、そ、っ……」
「じゃあこォ?」
「……っ!あぅんっ!」
くにくにと優しく揉み込んでから、クリトリス周りを濡らした手のひらで撫でてやる。
そしたら気持ちよさそうに腰がゆらゆら揺れて、俺の手のひらに押し付けるみたいになった。急に積極的になったから驚いたけど嬉しいし、その右手で幹を擦ってやりながら左手で先っぽを撫でる。
気持ちいいみたいでぎゅうぎゅう締めてくるのが可愛い。
「あっ、あっ、いいっ、それぇ……っ」
「これ好き?じゃあこっちは?」
「ひっ!」
くりくりいじってた指を止めて、また腰を動かす。痛いって言ったからゆっくり優しく丁寧に腰を振ることに集中した。
正直さっきより我慢汁出まくってて余裕ないくらい気持ちいいけど、なんかこうもっと楽しみたい感じで頑張って耐える。
我慢できなくなったのか、アキが自分のちんぽを握って、腰の動きに合わせてしこしこしてるのも視覚的に最高にエロくて気持ちいい。
「あーやばー……超気持ちいー……」
「んぁっ、あっ、あえぅっ……」
「すげーな、セックスってこんないいんだ……」
な〜んか、感動。初めてのセックスでこんなに気持ち良くなれるなんてすげえ。
エッチは相手のことを知れば知るほど気持ちよくなる、ってマキマさんが言ってたけど、正直、早パイのことはあんまりまだよく分からねえ。ってことは、これから先、もっと仲良くなっちゃったら、もっともっと気持ちよくなれるってことだよな。それって、すげーいい。
「アキ、」
思わず名前、呼んでみた。そしたらこっち向いて、肩越しに見上げてきた。うるうるの青い目、赤く染まった頬、半開きの唇。
なんか、その顔見たら、すっげー可愛いって思って。
「アキ」
もう一回呼んだら、アキはビクッて震えて、ナカがきゅうっと締まった。
甘えるような締め付けに我慢できなくてまた腰を振る。ピストンしてたらアキが喘ぎながら何か言おうと口を懸命にぱくぱくさせた。
「ぁ、は、えぅっ、ぅんんっ、うぁっ」
「なーに? どうした、アキ」
「あ、ぁうっ……な、まえ……呼ぶなぁ……っ」
「え、何でェ…?」
ひっ、ひっ、って喘ぎながら、アキはまた額をシーツに擦り付けて、必死にイヤイヤ首を振る。
そんな嫌がられると余計呼びたくなるんだけど。アキの腰、すべって持ち上がんないくらい汗びっしょり。
「アキぃ、なんで名前呼んじゃダメなの?」
「やっ、やだっ……なん、か、変っ……ぁっ」
変、って今更。もうここまでしてんだから変もクソもないじゃん。でっけえちんぽからだらだら汁こぼしてんの、見え見えだぜ。
「気持ち良いんだろ? 名前呼ばれるの、気持ちーってなってんだよな…?」
「うぅうっ……!あっ、あぁっ」
ぐちゅんっ!強く突くとアキが高い声で喘いで震えた。同時にまたナカが締まってびくんびくんしてる。
デンジくん大天才。アキはセックスんときは、名前呼んでやると気持ちよくなっちゃうんだな。
腰の動きは止めないまま、上体を倒してアキの背中にぴったりくっつく。耳の裏に唇をつけて、「アキ、アキ」って何度も名前を呼んでやると、またアキがニャーコのおもちゃみたいに小刻みに震えた。
べろりと耳の裏を舐めてやると、アキはひぃっ♡と息を呑んで頭を振った。全然抵抗になってない。むしろ興奮する。反対の耳を指でこしょこしょしてやりながら、耳たぶを舐めて、噛んで、息も吹きかける。
「アキ、アキぃ……すっげぇ気持ちぃ……中、とろとろ」
「ひぃっ♡ やめっ、やめろぉっ♡」
「耳弱いの? エロいこといっぱい言われて気持ち良くなっちゃうんだ?♡」
「ぁぅっ♡ ぅうっ……!!」
ぐりぐりと腰を押し付けて、奥までハメながら耳をしゃぶる。目の裏がチカチカし始めて、俺は段々と加減がきかない体を、アキに押し付ける。
「あー、イキそ…ぉ…っ」
うわ言みたいに言うと、アキがビクッと跳ねて、同時にアキのちんぽの先端からドロッとザーメンが溢れた。
「ぁっ、あっ、ぅう〜〜っ♡」
「ん、アキ、イくのはえぇよ…」
足の力が完全に抜けていて、俺が腰を掴んでいたからなんとか四つん這いの体勢だったけど、アキはそのままカエルみたいにべちゃりとベッドに潰れた。
腰の隙間から手を入れてみると、ザーメンまみれのちんぽが俺の手の中でどくんどくん、って脈打った。
アキがシーツを握り締めたまま、顔を埋めて、ケツだけ突き上げた体勢でガクガクと震えていた。
「……っ……はぅう……」
いや、そんな呻かれたって、俺まだイッてないし。
「ひっ、う、やめっ……」
「あー、イキたてん中、すっげぇ気持ちい……おれ、もおイクッ……」
ザーメンまみれの手で、腰をつかみ直してまた突き上げ始める。アキはやだやだって繰り返してるけど、中がさっきよりぐずぐずになってる。溶けそう。
シーツに顔を押し付けて喘ぐからアキの声はくぐもって聞こえる。でも時々耐えきれないみたいな喘ぎ声で俺の名前を呼んでんの、なんかすげえ可愛い。
可愛いってなんだ。相手アキなのに。ちんちん付いてんのに。まんこもあるの、反則。
ツラぁ良くて、料理上手で、俺んこと叱って、時々褒めてくれて、エッチまでさせてくれる。何で俺、気が付かなかったんだろ。アキんこと好きになりゃあ良かったんだ。
「あ〜〜〜〜頭、馬鹿んなるぅ……」
「ぅ、ふぐ、っうぇ」
アキは突かれる度に泣き声を上げた。エロくて可愛くて、もう限界。
「あーイクッ……アキ、気持ちいい、可愛い、あ…また締まって…っ♡ 出る、中出しっ、すげ、あぁあっ…!」
「ひっ、ぐ、ぅ、うぅうう……っ」
思いっきり腰を押し付けて奥の奥までちんちん押し込んで射精した。
アキの腰がビクビク跳ねてる、まんこもきゅーーーって締め付けてきて、多分今イッてるんだと思う。
そういう俺も今までで一番興奮してイッた気がする。
びゅるるっと濃いめのザーメンが出たと同時に、俺はあまりの気持ちよさに涎がでかかった口元を拭った。
あー、まだちょっと出てる。
アキはシーツに突っ伏したまま、全身を痙攣させていた。はあ、はぁ、って荒い呼吸が聞こえてくる。
「アキ、大丈夫……?」
心配になって声を掛けたら、アキがゆるゆると振り返った。目もと潤んでて赤くて、エロい顔のまま睨まれた。
可愛い。俺の可愛いセンサーぶっ壊れちまった。
「……っの……ばか……やろぉ……」
「ちゅ〜したい……」
「へ、ぁ、いや、んなこと…しな…っ」
「いいじゃん、ちゅ〜しようぜ」
くたくたの肩を掴んで、無理やり仰向けにひっくり返す。アキのほっぺたに手を添えて、顔を近づけた。
アキは目を見開いて、顔を背けようとするけど、無理矢理こっち向かせる。
「なんで?いいじゃん」
「やっ……やだ……」
アキは腕で顔を隠して小さく言った。なんでそんな嫌がるかな。傷つくだろォ。俺はなんとなくイライラして、アキの腕を掴んで顔から剥がそうとすると、またやめろって振り払われた。
「キスゥ…!」
「いや、だ、ぁ……俺……今変な顔、してるっ……」
真っ赤になってるアキの目からぼとぼと涙がこぼれた。え〜〜〜何だそれ。びっくりするぐらい、胸がきゅうっと苦しくなる。
「アキ、可愛いからへーき」
思わず零れた言葉のまんま口にした。そしたらまたぼろぼろ泣き出すから、どうしたらいいのか分かんなくてとりあえず抱きしめたら、アキは俺の背中に腕を回してぎゅうぎゅうしがみついてきた。
可愛いってなんだ俺。男も女ももう分かんなくなっちまった。
今俺の目の前で子供みたいに泣いている奴は紛れもない男だし、朝んなったら薄っすら髭生えてるし、背だって俺より全然でかい。それなのになんでこんなに可愛く見えるんだろ。分かんねえけど、今すげえキスしたい。
「んっ…ぅ……んんっ!」
アキの唇を塞いだ。勢い余って前歯にぶつかったけど、構わず舌を突っ込んだ。
ぬるりと熱くて柔らかい舌が絡み付いてくる。上顎を舐めて、分かんないからとにかくめちゃくちゃ舌をあちこち回した。
びくびく震えながらしがみついてきたアキから、鼻から抜けるような甘えた声が可愛くて、夢中で貪った。
唾液を流し込むと飲み込んだみたいで、コクン、って喉が上下するのが分かった。
息するのも勿体なくて、めちゃくちゃキスしてたら、アキが苦しそうに呻いたから慌てて唇を離した。
「ぁ……デンジぃ……」
アキはとろんとした目で俺を見上げた。涙が滲んで赤くなった目元と、半開きの口元がエロくて、またムラッとしてくる。ていうか、勃起した。さっき出したばっかなのにもうこんなガチガチになってる俺ってどうなの?やっぱ頭おかしいのか?悪魔人間の性欲やべえ。
でもそんなことどうでも良いか。だってアキ、また腰揺れてる。
「足んねえの?」
顔がどんどん赤くなる。こんなに赤くなったアキ見るの初めてかも。すげー可愛い。そろっと手をアキの足の間に伸ばす。
「あっ、や、」
アキは慌てて足を閉じようとしたけどもう遅い。
俺の指はもうアキのまんこに食い込んでいて、ぐちょぐちょに濡れてた。そりゃそうだ、今中出ししたばっかだし。ぬるぬる滑りまくる割れ目を指で辿って、探し当てたクリを優しくいじる。くりくりって軽く動かしてあげるとアキは甘くもどかしげに呻いた。
「ふぅ…ぅんん……っ♡ は、あ、ぁ……っ♡」
「やさしく、だろ? 分かってんよぉ」
「ん、ぁっ♡ あっ、ぁっ♡」
ゆっくり中の固いところを指の腹でくにくにと優しく押すみたいにすると、アキが腰を揺らして悶え始めた。
舌が出て、必死な感じで呼吸してる。
引き寄せられるみたいにベロチューしながら、アキのまんこをゆっくりくちゅくちゅ弄る。口ん中で、アキのとろけそうな声がする。ディープキスで塞がれたままのアキがまたビクビク震えてイった。ああ、アキ最高。可愛い。エロい。
「はう、ひっく、デンジ……っ」
な〜に、って聞こうとしたら、ごんって脳天が揺れるくらいの勢いでゲンコツ落とされた。
目玉から星が飛んだ。
「いっっっっってええ!!なにすんだよアキぃ!」
「ぅ、うるさいっ!この馬鹿っ!!今すぐどけ!!」
アキは怒りながら俺をベッドから蹴り落とした。
すっげー痛くて、俺は床で頭を抱えて呻いた。
さっきまであんなに可愛かったのにぃ……。
座れ、と地を這うような低い声で言われて、俺は素直に床の上に正座した。
「……何か言うことは」
アキが低い声で言った。
俺は目を泳がせながら、「あー……えーっとぉ……」と口籠る。やべえ、どうすっかなこれ。土下座とかした方がいい?
俺がもごもご悩んでると、アキはまた俺の頭をバコ!っと叩いてきたから俺はもう観念した。
「ごめんなさい……」って小さくなると、アキは冷たい目で「申し訳ありません、だろ」と訂正してくる。
「あ、はい……申し訳ござい、ませんでした……」
ちら、っと目を上げてアキを見ると、アキは冷たい目で俺を見下ろしてた。
賢者タイムのアキは、めちゃめちゃに怒っていた。
「てめえ、何したかわかってるよな」
「……アキとセックスした」
「セックスじゃねえ! レイプだ馬鹿!」
ぐうの音も出ない。
「だって……気になってよぉ」
「普通は気になったからって寝てる人間のパンツ脱がせたりしねえんだよ」
「起きてた時、失敗したからぁ」
はあ?って聞き返しながらも、アキが言葉に詰まった。
「だいたい何で男なのにまんこついてんだよ!?アキ、本当は女だったの!?」
「脱がしといて何言ってんだ!しっかりちんこついてんだろ!これは、なんか……そういうこともたまにあんだよ」
「そんなことあんのかよぉ!?!?」
「あったんだからしょうがないだろ!? わざわざ教えるかそんなこと!!俺はちゃんと男だ!!」
言い合って、でも徐々にアキの怒りが発散されていくのを察する。ハアハア息を吐いて少し落ち着いたアキに、ついでとばかりに質問した。
「アキ……生理あんの?」
「気持ち悪いこと聞くんじゃねえよ」
「いや、大事だろ。血ぃ出るし腹痛くなるんだろ? 休んでなきゃいけねえタイミングとか、分かんねえの困るだろ」
「……変な気遣い、するな。俺は別に困らないし、その……お前には関係ないだろ」
「関係なくねぇよ」
「……、ない……」
「ふーん……ザーメンはあんなに出るのにか?」
「はあぁ?? おま、っ、いい加減にしろ……っ」
沈黙が痛い。心底冷えた瞳で、アキが睨んでくる。
「もうこんなことしないって誓え」
「…………」
ゲシッ、と肩を足先で蹴られたものの、ここで誓ったら二度とセックスできねえ。そんなの嫌だ。
「もう、無理矢理はしない……ように…する」
はあああ?ってアキがブチ切れた声を出しかけたから、慌ててまくしたてる。
「だ、大体、元はと言えば、てめぇがリビングで大股おっぴろげてオナニーなんかしてっから! ムラムラしちまったんだろ!」
「っ……!!!」
アキがひるんだ顔でうっすら赤くなった。ここで一気に畳み掛けるしか、もう打つ手がねえ。
「てめぇが男だってんなら、分かんだろ!? あんなえっろいポーズで盛りやがって!」
「な、な、……っ」
アキの顔がどんどん赤くなる。俺は勢いのまま叫んだ。
「ここ数週間の俺ん悩みをなんだと思ってんだよ! てめぇにチンコついてんのかどうか分かんねえって、すっげぇ悩んでたんだぞ!」
「おっ、お前……そんな、バカな事で悩んでたのか?!」
アキは脱力したみたいに肩の力を抜いた。
「お、ぉ…ぁ……悪いかよ……」
俺はちょっと恥ずかしくなって、もじもじと爪先を擦り合わせた。
「だ、だって……早パイんこと、ずっと男だと思ってたし……」
「………」
「だから俺、最初、金タマ蹴っちまったし……でも、もし女だったら……あんな蹴っちまったのに」
「……蹴ったのに?」
「あ、赤ちゃん産めなくなっちまったら、どーしよ、って………」
消えそうな声で絞り出した俺の言葉に、アキは、ぽかんと口を開けた。
「お、お前……」
ふはっ、てアキが息吐くみたいに笑った。いや、今笑うとこじゃねえだろオ?!
「な、なに笑ってんだよ!俺は真剣に……っ」
「……は……赤ちゃん……」
何がツボったのか、早パイはさっきの怒りも忘れて、腹抱え始めた。
「わ、笑うんじゃねえ! 真剣に悩んでたんだぜ!」
「ふ……っ、悪い……」
アキは笑いすぎて出てきた涙を拭いながら俺を見た。
そのまま俺の頭、ぐりぐり乱暴に撫でてくるからちょっとびっくりした。
あっれえ。なんか思ってた展開と違うな? でもなんか、アキ、もう怒ってないっぽいからいいか。
「……男相手でも、女相手でも、股間は蹴るなよ」
「喧嘩の必勝法なんだよ」
「もっと正攻法で鍛えろ」
アキはベッドに腰掛けたまま、はぁ〜って長い息を吐いた。それから、俺を呼んだ。
小言いう時の、つまりいつものテンションの、アキの声だった。
「デンジ、」
「あ?」
「俺は、男だ。………俺は、そう思って生きてきてる。女になりたいと思ったことは、一度もない。これからも、そのつもりはない」
俺は黙ってアキの言葉を聞いていた。アキは顔を上げないまま、続けた。
「だから、……女みたいに扱うのは、やめろ」
「……まんこあんま舐めんなってことぉ?」
「お前、ぶっ殺すぞ」
アキはギロ、と俺を睨んだ。コワ〜〜。
俺は慌てて両手を上げて降参のポーズを取った。でもすぐ手を下ろした。
なんか、セックスしたからかな。不思議なぐらい、今したいことと、求められてることがわかる気がすんだよな。
俺は、アキの隣に座った。拳一つ分くらいの距離を空けて座ったけど、アキはもう怒らなかったし、逃げもしなかった。
ベッドで足先ぶらつかせながら、潔くいう。
「アキ、もっかいキスしようぜ。さっきの、すげー気持ちよかった」
アキがピクッと震えて、俺を見た。目の中の揺らめきがキラキラして見えて、綺麗だった。ニヤって笑うと、でっかいため息つかれる。
つまり、そういうことだよな? 遠回しなお伺いを立てて、空気読んで待つんじゃなくて、チャッチャと誘ったら良いんだ。
ちゅ、と軽く唇を合わせるだけのキスをした。それだけで胸が暖かくなる気がして、ドキドキした。
もう一回と思ったら、アキが口を開いて舌を入れてきた。俺もベロを出して絡める。
ぬるぬるの舌がめちゃくちゃ気持ちいい。ちゅる、って吸いあったり、裏側をくすぐってみたり。唾液が混ざって、いやらしい音がする。
「ん、は、……アキぃ……」
唇を離して見つめ合う。アキの海色の目が濡れて熱っぽい。
「もっかいエッチする?」
渾身のサラッと感を出した俺の提案は、アキの鍛え上げられた足の攻撃と「調子乗んな」の一言であえなく撃沈した。
あ〜〜〜〜あ、ポチタ、悪ぃな。
俺、まともなセックス一生できねえ気ぃするぜ。